新人賞一次落ち、そして…… | 心に翼、黒くてカギ爪つき by 麻生新奈

心に翼、黒くてカギ爪つき by 麻生新奈

読んだ小説、書いた小説の話題が、メインです。

 前回の記事で書いたとおり、2010年は、〆切までに原稿を提出。結果が発表になるまではウェブ公表は待とう、ということにしました。
 そして、公表までの間、推敲をお手伝いいただいた方限定のブログ記事として、本編の後日談(といっても、あらすじ)を書いていきました。そのなかに、活断層の上に原子力発電所を建設しそうになる、というエピソードがあったのでした。

 2011年3月11日。東北地方太平洋沖地震、発生。

 凄惨な光景が繰り返しテレビで放映され、精神的に平常を保てなかった方は、たくさんいらっしゃると思うのですが。私の場合、これが、創作に出ました。地震のエピソードは、「続編」であって「本編」ではないんです。だから、本来、まったく関係ないんです。それは理屈としてはわかっているのですが。自分でも理不尽だとわかりながら、「異血」のことを考えるのが苦痛でした。

 間が悪いことに。新人賞の「落選評」が届いたのが、2011年4月。「なぜ一次落ちしたか」の理由を指摘した評で、短文ではありましたが、けっこう痛いところを突いてくるものでした。本当なら、これを受け取ってすぐ、落選の口惜しさが熱いうちに、リライトに入るべきです。それが、落選評が届いたのは、先述の「異血忌避病」の真っ最中でした。タイミングを逸した、としか言えません。

 んで、もって。
 私の場合、だいたい、1本完成した瞬間は、はしゃいでいます。そのあと、欠点ばかり目につく時期があります。自作のなかで、相対的・客観的に見られるようになるのは、だいぶ、後です。

 『異血の子ら』の場合、推敲開始のタイミングを逃しているうちに、この「欠点期」に突入しました。一時期は本気で、もう推敲にさえ値しないと思いました。

 それでいて、これだけ苦労し、人さまのお世話にもなった一作を、お蔵入りにしてしまっていいのか、という、罪悪感がありました。この罪悪感のせいで、この世界から気持ちを離してはいけない、という、奇妙な強迫観念が生まれました。

 このぐちゃぐちゃした精神状態の期間に、「夏祭り」には、この世界を舞台にした作品を、計3本、提出しています。2011年、2012年はシェーヌを主人公としたものでした。2013年、やっと、イズナとナズナを再び書けるようになり。
 その年の夏祭りが一段落した2013年秋から、私は、本編の推敲を再開しました。



 こんなところでお礼もなんですが。感想のメールいただきました、ありがとうございました。ピンク恐竜のセレンディピティ、私も見てました。ただタイトルを忘れてしまっていて、今回検索しました。「セレンディピティ物語 ピュア島の仲間たち」だったみたいですね。